
シアル酸
-古代霊薬から現代新薬の創製まで-
第1章 燕窩とは
1 兵馬俑
2 楊貴妃
3 華清宮
4 燕窩とは
5 燕窩の偽物
第2章 燕窩の成分
1 燕窩の成分
2 燕窩を構成する糖鎖
3 燕窩を構成するタンパク質
4 燕窩のシアル酸
第3章 燕窩の効用
1 食材としての燕窩
2 漢方薬としての燕窩
3 近代医学にみる燕窩
4 薬膳としての燕窩
5 燕窩を用いた薬膳例
第4章 シアル酸の化学
1 シアル酸の歴史
2 N-アセチルノイラミン酸
3 N-グリコリルノイラミン酸
4 デアミノノイラミン酸
5 2,3-デヒドロノイラミン酸
6 N-アセチル-2,7-アンヒドロノイラミン酸
第5章 シアル酸の分布と機能
1 糖脂質
2 ムチン型糖タンパク質(O-結合型糖タンパク質)
3 アスパラギン結合型糖タンパク質(N-結合型糖タンパク質)
第6章 シアル酸誘導体の生理活性
1 シアル酸の生理活性
2 免疫を調節してガン転移をおさえるシアル酸誘導体
3 神経細胞を伸ばすシアル酸誘導体
4 インフルエンザの妙薬
おわりに
序
燕窩を原料にして、シアル酸を抽出し、これをリード化合物とした新薬の開発を目指してから、はや、四半世紀をこえた。この間、シアル酸の重要性は、ますます増してきた。例えば、インフルエンザは、文明の進んだ現在でも、最近のトリインフルエンザに見られるように、大変危険な病気である。もし、新型インフルエンザが流行すると、我が国では4人に1人が感染して、17万人もの死者が出るとの試算がある。もし、世界的な大流行に陥れば、多くの人命が失われるであろうことが予測される。
1961年にはすでに、燕窩ムコイドが各種のインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに活性があることが報告されている。最近になって、シアル酸誘導体の「ザナミビル(リレンザ)」が、インフルエンザの特効薬としてシアル酸から創出され、使用されるようになったことは全人類にとって朗報である。 特に、幼児や高齢者は、副作用や耐性菌の発現などを考慮して、この新薬を用いるのがよい。政府は、「ザナミビル」をモデルに創出された、経口投与可能な「タミフル」を1000万人分、備蓄するとのことである。
本書では、燕窩から各種のシアル酸ならびにその誘導体に関する概略を述べて、インフルエンザの特効薬だけでなく、「花粉症治療」「ガン転移の抑制」「アルツハイマー症などの治療・予防」「交通事故などの損傷神経治療」などの新薬の創出が可能なリード化合物としての「シアル酸」を概説する。
特に、「花粉症治療薬」としてのシアル酸ナトリウムの薬理作用の報告は、詳細に記述して、後進の便を図りたいと考えた。参考に供して頂きたい。本書が、シアル酸の入門書として学生諸君に愛読され、シアル酸をリード化合物とした医薬品が数多く世に出ることを期待したい。
(2005.8.12 小倉治夫)
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